311fromjapan の取り組みに寄せて

311fromjapan の取り組みに対してメッセージを書いたのだが、英語での情報発信のプロジェクトなのに、日本語で長文を出すことはさすが気が引けたのでタグを外した文をそのまま載せます。

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一年前の震災時、僕は東京の自宅でプログラミング中だった。その衝撃の後TVでの津波の映像に釘付になり、何も手がつかなくなくなり、ただ情報を眺めるだけの無為な時間を過ごした。

しばらくして、沢山の情報を探したり、集めたりするようになり、なにかできることは無いかとを探し続け、考えつづけた。そんな風に何もせずに3月を不毛にすごしてしまった。

それだけ悩んだにもかかわらず、結局僕程度の人間には何もできないだろうと諦め日常に帰ろうとした。4月からはすべてを忘れるため、情報一切をシャットアウトした。

日常に帰るためにまず最初にしたことは知り合いが共催していた4/9の勉強会への参加。しかし、その勉強会後のLTで偶然「私は故郷のために何かをしたい」という本気のメッセージに触れ、再び考え込むことになる。

「何もしなくて本当にいいのだろうか?」「本当に僕には何もできないのだろうか?」「自分の故郷はどこ?」 そんなとりとめもない想いがグルグルと回り始めて止まらなくなる。そして、どうしても抑えられないある感情に気がつく。

「自分の故郷は日本である」そんな感情。「東北が傷ついている」そう考えたら、僕は残念ながら本気にはなれない。なぜなら、僕の故郷は東北ではないから。でも「日本が傷ついているのだ」と思った時、もうどうにもならなくなった

「とにかくプログラマとして、できることを探そう」そう考え、BLOGを書き始めたり、震災復興系の色々なイベントに参加。いくつかのアイデアが浮かんだが、どれもいまいち。しかし、活動を続けるうち物になりそうな一つのアイデアを思い浮かぶ。

その後アイデアを実現するシステムを、周辺状況が整理できた10月半ば位から作り始めた。紆余曲折あったがとりあえず形になったので、そのシステムを本日ある組織向けにテスト公開した。このシステムを育てることがこの一年の目標だ。

昨年一年はジタバタ走りまわったものの、結局は一歩も進めていなかった一年だったと思う。もうちょっと違うやり方をすれば一歩くらいは進めたはずなのに、と思う一年だった。

ある友人は言う。「これからの日本にとって重要なことは、一人の優秀なリーダーが日本を "Change" させる事ではなく、国民一人一人が小さな一歩を踏み出すことで、日本全体が "Shift" していくこと。それこそが重要」

ある友人は言う。「大企業に勤めている自分には一歩を踏み出すのにはとても勇気がいる。一歩を踏み出した友人達を横目に見ながらずっと悩んだ。悩んだけど、やっぱり一歩踏み出すのは難しい。。。 でも半歩ならできるかも」

そんな想いや迷いに触れながらシステムを作っていた。ふと思う。「僕は何故このシステムを作っているのだろう?」彼らの言葉がグルグル回り始める。

4月に入っての僕がそうだったように、多く日本人は問題の巨大さに戸惑い、自分ができそうなことを見つけられずに、あの日以来これら問題に対して心を止めてしまったように見える。

僕だって偶然に出会わなければ、心を止めてしまった一人になっただろう。人のことは批判できない。でも思う。これからも日本人として生きていく以上、どうやってもこの問題から避けて生きることはできない、って

一年前、世界の人々は日本に対して祈りを捧げてくれた。でも、後数年もすれば、彼らは祈りではなく質問をするようになるだろう。「アレからどうなった?」って。その時、あなたは一人の日本人としてどう答えますか?

「優秀なリーダーが現れなかったので、あまり復興していません」でしょうか? それとも「私は直接関係なかったので何もしなかったが、予算は沢山ついたみたいなのでそれなりに復興した」でしょうか?

「何もしないのなら、ボランティアにいって直接東北支援してこい!」というようなことを言いたいのではないのです。

日本全体が大きく傷ついたのだから、国でも個人でもあの日以前と同じやり方、同じ努力をしていては「あの日以前に戻ることすらできない」ということをいいたいのです。

日本人一人一人が、あの日から半歩前へ進むことでしか、日本の未来は ”Shift” しないのだ、と言いたいのです。

とはいえ、ただでさえ働き過ぎ傾向にある、日本人に更に働けというのは酷なことです。だから、1%位の協力を薄く広く集めて形にするにはどうしたら良いか? を考え続け、このシステムを思いつきました。

実際、このシステムが役に立つのかわかりません。でも、祈りを捧げてくれた人たちに対して「いろいろやったけど、何一つ物になりませんでした」と言えるくらいにはなりたいと思って頑張っています。

僕の今年の目標は「このシステムを通じ、2011/3/11 以前の日本から半歩前へ進ませる事」

それが、世界中の人々が日本に捧げてくれた祈りに対する、僕がプログラマとしてできる返礼だと想い、この一年を頑張るつもりです。

最後に。沢山の祈りにありがとう。