この一年をふりかえる

このブログを書き始めて明日でちょうど一年になる。いい機会なのでいろいろと振り返ってみようと思います。大体の流れは前回の記事( 311fromjapan の取り組みに寄せて ) でおおむね説明したので割愛したい。

大きめの変化起点は2つあります。

ダジャレクラウドプロジェクトの出会い

一つ目は 2011/5/21 に Hack for japan 主催のハッカソンに参加し、ダジャレクラウドというプロジェクトに参加したこと。

ここらへんの経緯は今までのBLOGに書いていたとおりです。現状は公開状態ではあるものの積極的に活動しているわけではないので、残念ながら停滞状態としているといえます。個人的には今まで思いついたアイデアをなにかしらの形で実現したいので、余裕ができたら再起動をかけたいと思っています。

いまはダジャレクラウドを発展させるためにアイデアを考えていた時に思いついた、より重要だと思えるサービスの開発に注力しています。サービスの内容はまだ詳細には語れませんが、新しい形で薄く広く寄付を集めるシステムを作っています。一般公開を6月位に予定しているのでそれまでお待ちいただければ、と思っています。

SocialShiftな人達との出会い

2つ目は、2011/7/4に SocialShiftというイベントに参加したこと。このイベントはIT系ではなく、震災復興色も薄かったように思えたので、最後まで行くことに悩んだのですが、結果的に今まで参加した数多くのイベントの中で一二を争う参加してよかったと思えたイベントになりました。

このイベントで出会った人とは、なにかしらの形で縁が続いてたりするので不思議です。「つながり」を重視する人たちばかりだったからなのかもしれません。

ここから助けあいジャパンにつながり、冬合宿につながったので、やはりこのイベントはこの一年ではターニングポイントなのです。最もこのイベントに参加しようと思った一番の理由は HackForJapan で出会った人が参加していたから参加を決めたので、結局 HackForJapan からの始まりです。

そして、この一年で最大のインパクトだった冬合宿の第三弾である春合宿に2番目に行って欲しかったのも彼で、実際参加してくれました。縁が続き、回っています。不思議ですね。

心が大きく変化した一年

心が大きく変化したと思えたのは3回。最初はこの一年内ではないものの変化の起点になった2010年11月末。この時がたぶん僕の人生の中で一番怒った時で、その事がきっかけで今までの発想、考え方を変えようと心から思えるようになった。2回目は最も喜怒哀楽の振幅幅の大きい状態になった2011年9月末。いずれも心の限界線を超えたな、と思えた時。心が成長した時、といっていいかもしれない。

3回目は冬合宿を含む1週間近くの東北滞在。特に感情の限界線を超えたということは無かっただけど、色々考えさせられた一年の締めくくりとしては最高のものだったと思えた一週間だった。

2011年は学びの年にしようと、オープンソースとして公開できるものを目指して色々と作り始めたり、学びを再開し始めたが、震災でいろいろといい意味で吹っ飛んでしまった。自分のためだけの事をやっている場合か? と。そんな感じで3月中は色々考え迷走したが、4月になって「まあいくら考えたって無駄だな」と、無理やり自分を説得し考えることをやめようとした矢先、偶然LTに遭遇する。

あんまり神様とか信じない方だけど、タイミングがタイミングだったのでこれはなにか意味があるのかもしれない、と思え、それ以外の色々な思いも重なったことで少し行動を変えて見ようと思うようになった。

手始めにこのBLOGを書き始めた。一ヶ月くらいザァーーーと、考えていることを一気に書いて行くと不思議なもので、書き終わった頃には「なんかやってみよう?」という感覚になり、復興系のイベントに参加するようになった。その後はBLOGに記しているとおり。

この一年で何が変わったのだろう?

2011年は学びの年にしようとは思っていた。ただその学びの対象はIT技術に関するものにするつもりだった。そこら辺に関する学びはいまいちに終わったが、その奥にある「なぜIT技術を学ぶのか?」のような根本の問いに対して向き合うことができたので、結果的にではあるけどより良質な学びの一年にはなったと思う。

Hack for japan の活動を通じて考えさせられたことは「必要とされるサービスとは何か?」という事。他にも色いろあるけど割愛。僕は初参加当初からハッカソンベースでスクラッチから作るようなアプリのニーズがあるとは思えなかったので、だいぶ色物系、変化球アプローチのダジャレクラウドプロジェクトに参加した。

しかし、色物、変化球であったが故に本質的な問い突き付けられた。

「被災地支援とはどういうことだろう?」
「サービスってなんだ?」
「人に使ってもらえる、とはどうゆうことだろう?」

SIをしていた時にはあまり考えなかったこと、というより考える必要がなかったといえばいいだろうか。ユーザは決まっていたし、ある意味要求通りに作っていさえすれば、使ってもらわなくても構わないシロモノだったから。

もっとも「サービスとは何か?」の方に意識が向かい過ぎたため、あまりコードを書かないで、企画だとかプレゼン資料だとか、文章だとかばっかり書くようになった一年になってしまいましたが(笑)

最近はそこらへんも落ち着いたので、コードを書く量が増えたので開発が進むようになりました。本当、合宿参加者向け記事とか書いてる場合じゃないっすよ(笑) ってな感じですが、書かずにはいられなかったので書いてしまいました。

いろいろな変化があったとは思うけど、結局同じところグルグル回っただけで進歩自体は無かったかもしれない。だから何も変わっていない気もするけど、でも僕にとっては良い一年だと思える一年だったのでヨシとしたい。

つぎの一年で何をしたい?

情けないことだが、こんなふうに次の一年をどうしたい? 的なことを考えたことはいままで殆ど無かった。ダメ人間にはダメ人生が似合っていると思っていたから。でも、この一年を振り返ると自然と次の一年はどうしよう? と言う気持ちが沸き上がってくるから不思議です。多少はまともな人間になれたということだろうか?

変化の始まりは偶然聞いてしまった「誰かの本気」からだった。それは去年の今日4/9の確か18時頃。そして、春合宿の最終日で一番熱いイベントであるチェックアウトも同じような時間帯。このチェックアウトは春合宿参加者の最も心に残る時間になり、ゆえに忘れられない特別な一日になることでしょう。なぜなら、春合宿参加者全員が「誰かの本気」に触れることになるだろうから。

数奇な偶然ですね。こういった日程的な偶然もあって春合宿に対しては他の冬合宿参加者の人よりちょっと強い思い入れがあって、推薦記事とかこのあとに書く春合宿参加者向けの記事を書いていたりします。

僕は前記事でこんな事を書きました。

「これからの日本にとって重要なことは、一人の優秀なリーダーが日本を "Change" させる事ではなく、国民一人一人が小さな一歩を踏み出すことで、日本全体が "Shift" していくこと。それこそが重要」

気がついている人は気がついているでしょうが、この言葉はこの春合宿のファシリテーターである野田さんの話を僕なりに短くまとめた言葉です。つづいてこんな事を書きました。

日本全体が大きく傷ついたのだから、国でも個人でもあの日以前と同じやり方、同じ努力をしていては「あの日以前に戻ることすらできない」ということをいいたいのです。

日本人一人一人が、あの日から半歩前へ進むことでしか、日本の未来は ”Shift” しないのだ、と言いたいのです。

震災後から考えてはいましたが、特に冬合宿参加後に日本の未来だとかをよく考えるようになりました。

「日本の未来」と言ってしまうと、誰か偉い人や有能な人しかかかわれず、普通の人間にはものすごく他人事のように思えてしまう、というのが正直なところだと思います。でも思うのです。

自分と「日本の未来」とは、本当に無関係なのでしょうか?

「失われた20年」などとよく言われます。失われたと言う表現が的確かどうかはわかりませんが「停滞した、止まった20年」であるとはいえそうです。原因を政治や経済政策に求めるなら、原因は幾つでも見つかりそうです。しかし、見つかったすべての原因を誰かが解決できたとして、本当に日本の未来は良くなるのでしょうか? なんだか、僕にはそうは思えないのです。

「自分と日本の未来」が無関係でないとしたら、日本の未来が止まっていた理由は
「自分が日本に対して止まっていたから」なのでは?

最近良く思うことです。だとするなら、日本の未来を変えるために必要なことは、自分の日本に対する考え方や心を少し変えてみることなのかもしれない。

今より半歩前へ

小さな変化で良いのです。いきなり大きく変わる必要などないのです

なぜならその変化が少しずつつながり、共鳴し続くことが一年も続けば自然に、しかも大きく変わるのですから。だから最初は小さくて良いのです。大切なことは臆病な一歩を踏み出すきっかけに出会うこと。


その為に、僕ができることの一つは、小さな変化のきっかけと巡り合うチャンスを増やすWebベースのシステムを作ること。もう一つは、春合宿のような臆病な一歩の受け皿になり、小さな変化の共鳴が起こり続けるコミュニティが自然に生まれるようなFace to Faceベースの仕組み作り。そんな事に今年一年取り組めたら良いと思っています。

やはり日本は面白い国だと思うのです。だから、衰退することは仕方ないにしてもつまらない国になってしまうことには、どうしても納得できないのです。これからも面白い国であり続けて欲しいと心から思います。その為にできることを少しずつ。

この一年をそんな風に過ごせたら。。。 それが今年一年の目標です。